私、立川真由美は前職の「まかないこすめ」を展開していた時から輪島の漆工芸に触れる機会は多く、新しく出店するときは必ずと言っていいほど、輪島の漆を建材として、ディスプレイとして多く使っていました。それは堅牢さや殺菌効果などの機能だけでなく、使えば使うほど艶が出てくる“経年美化”と、何とも言えない肌触りの良さが、私どものブランド全体の価値や思いとつながるものだったからです。

そして私がロンドンに居住をしていた頃、多くの美術館、アートギャラリー、そしてアートフェアに行く機会に恵まれましたが、そこでは欧米のアートやクラフトが主で、日本のアートはおろか、工芸を目にすることは稀でした。たくさんの欧米のアートを見ながら日本の工芸、特に輪島の漆工芸は世界でもっとも美しい工芸のひとつであるだけでなく、アートやテーブルウェア、家具としてもっと評価されるべきなのに、という思いが生まれ、約1年前から私のルーツである金箔とともに輪島の漆を世界に広めようという活動をはじめ、ロンドンからオンラインで輪島の漆の作家さんや、同じ思いの方々と話を続けていました。

そして日本に帰国後、そのための一般社団法人を立ち上げる準備をしつつ、金沢にいる間は毎週輪島に通い、漆工芸に携わる方々を訪ね、勉強させていただきながら、皆さんの熱い漆への思い、温かいお言葉とおもてなしをいただいていました。一般社団法人も登記でき、漆に情熱をささげている皆さんの力になんとしてもなりたい、と意気込んで、新年のご挨拶メッセージのやりとりをしていた1月1日の午後、これまでとは比較にならない大きな地震が発生したのでした。

あれだけ皆さんのために、と言っていたにもかかわらず、いざというとき非力なことが分かり、情けなくなった日々…。そんな私であっても、私にしかできないことを考えて考えて、パリやロンドンの方々から輪島の漆工芸の方々の応援を仰ぐことができました。

私たちができることは、HOP(食料や水や毛布)STEP(住む家)、JUMP(これからの仕事)のJUMPの部分。でもまだ立ち上げたばかりの私たちだけでは力がまったく及びません。日本の宝である漆に携わる方々が継続して仕事ができるような支援をするために、どうか応援してください。

そしてこの度、一般社団法人WAJOY日本工芸の国際普及協会として、「被災した輪島の漆工芸の存続を応援する会」を立ち上げ、このための会員を募ることとなりました。

どうぞ私たちと一緒に、世界に誇る工芸に携わる作家さんや職人さんを応援してください。

                    一般社団法人WAJOY日本工芸の国際普及協会 

                                    立川真由美