このたび、金沢市との共催により、欧州のアート・デザイン市場に関心を持つ工芸作家・工房の皆さまを対象としたセミナーを開催いたしました。

当日は、金沢をはじめ、東京や大阪など各地から多くの皆さまにご参加いただき、ロンドンでの活動やCollect 2026を通して感じた、欧州における日本工芸への関心や評価、そして作品だけでなく、その背景にある思想や物語がどのように受け止められているかについてお話ししました。

セミナー後の2日間には、ご希望いただいた作家の皆さまとの個別面談も実施し、それぞれの作品や制作への思い、今後の可能性について意見交換を行いました。

WAJOYはこれからも、日本工芸を国際的な文化文脈の中で紹介し、作り手と世界をつなぐ活動を続けてまいります。

ご参加いただいた皆さま、そして金沢市、金沢クラフトビジネス創造機構の皆さまに、心より御礼申し上げます。

このたび、金沢市との共催により、Collectをはじめとする欧州のアート・デザイン市場での発表や活動に関心のある工芸作家・工房の皆さまを対象としたセミナーを開催いたします。

本セミナーでは、海外展開のノウハウや販売手法をお伝えするのではなく、私自身がロンドンで見聞きし、現場で感じてきた経験をもとに、欧州の建築家、インテリアデザイナー、キュレーター、コレクターが、日本工芸をどのような視点で見ているのか、そして金沢・石川の工芸が持つ可能性について、皆さまと一緒に考える時間にしたいと思っています。

例えば、

・Collectのような国際的な舞台で作品を発表してみたい方
・欧州のギャラリーや建築家、インテリアデザイナー、コレクターとの仕事に関心のある方
・作品だけでなく、その背景にある思想や物語も世界へ伝えていきたいと考えている方

このような思いをお持ちの工芸作家・工房の皆さまに、ぜひご参加いただければ幸いです。

また、このテーマに関心をお持ちの作家・工房をご存じでしたら、ぜひ本セミナーをご紹介いただけますと幸いです。新たな出会いや、今後ともに欧州へ挑戦していく仲間とのご縁につながることを楽しみにしています。


■日時
2026年7月8日(水)18:30〜

■会場
金沢クラフトビジネス創造機構

■対象
Collectなど欧州のアート・デザイン市場での発表・活動に関心のある工芸作家・工房

※本セミナーは、海外展開の手続きや輸出方法、補助金、販売ノウハウ等をご説明する内容ではありません。作品が国際的な文脈の中でどのように評価されるのか、その「視点」や「価値観」を共有することを目的としています。


詳細は、金沢市のチラシをご確認ください。
お申し込みは、下記リンクの参加登録フォームよりお願いいたします。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeXtTKaVA1Abq684ah8sEZy6O1s_CnwSWDD0B4OlTr-3TlELw/viewform

──ハンスピーター・カペラーが見つめ続けた、日本の美の核心

森田りえ子氏の作品 Photo:森田りえ子

はじめに


「つくり手の魂が見える瞬間がある。」
ハンスピーター・カペラーさんの言葉には、静かでありながら深い確信が宿っていました。
カペラーさんは50年ほど日本に暮らし、工芸や文化を外からも内からも見つめ続けてきた方です。シャネル、ディオール、ウェッジウッドと世界的ブランドの経営を担いながらも、いつも心の中心にあったのは“人の手と心”でした。
現在は自身のサイト「HIKITA-YA」を通じて、日本の工芸を世界へ静かに届けています。流行ではなく、作り手の精神そのものを丁寧に手渡す姿勢に、私は深い共感を覚えます。
今回のインタビューでは、日本文化の核、素材へのまなざし、美しさの基準、そして職人への敬意について語っていただきました。
外から来た人だからこそ見える日本の美の核心──
その“静かな洞察”に触れる時間となりました。

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日本の工芸を世界へ静かに届ける「HIKITA-YA」の
ハンスピーター・カペラー (Hanspeter Kappeler)氏

1. 素材が語る世界観──偏らずに見る理由 

Q1. 今、どの領域の工芸に注目していますか?

私は日本の工芸を紹介するとき、最初から特定の分野に集中するつもりはありませんでした。
日本の工芸は「素材そのものが世界をつくる文化」です。
土、竹、木、糸、漆、金属──それぞれの素材に、異なる歴史と美意識が宿っています。
日本に来たばかりの頃、私は日常の所作の一つひとつに驚かされました。
箒の動かし方、器の置き方、紙の折り方……。
そこには理由があり、無駄がなく、調和を乱さないリズムがある。
素材も同じです。
それぞれが違う“生き方”を持っていて、その多様性が文化全体を豊かにしている。
だから私は、陶芸だけ、漆だけ、竹だけと偏らず、
素材が作る世界の広がりそのものを紹介したいと考えています。

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福田亨氏の作品  Photo:福田亨氏

2. 異国で始まった再出発──日本へ来た原点

Q2. なぜ日本の工芸を世界に届けたいと思ったのですか?

私が日本に来たのは、50年ほど前のことです。
当時は日本語も読めず、知り合いもいませんでした。
それでも来たのは、
「平和で整ったスイスのままでは、自分が変われない」
と感じたからです。
世界を見たくて、とにかく環境を丸ごと変えてみたかった。
そんな中、多くの日本の方が助けてくれました。
その温かさへの恩返しとして、
「日本の良さを世界につなぎたい」という思いが自然と生まれました。
工芸は、その国の“心”がもっとも純粋に表れる表現。
だからこそ、日本の工芸を届けたいと思っています。

3. 無理をさせない文化発信──静かに橋をかけるということ

Q3. 発信の軸として大切にしていることは?

私は企業で長く働き、組織を率いてきました。
その経験で痛感したのは、
「誰か一人が無理をして成り立つ仕組みは、必ずどこかで壊れる」
ということです。
工芸の紹介も同じです。
作り手には制作のリズムがあります。
それを壊さないため、紹介する際には必ず
本人へのリンクをつけ、“自分のペースで”アクセスできる形にしています。
また、発信はすべて英語です。
文化の背景まで誤解なく伝わるようにしたいからです。
文化の紹介は、押しつけではなく、
静かに、丁寧に橋をかける行為だと考えています。

─ サイモン・ライトが語る、日本工芸とクラフトマンシップの未来

はじめに

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ロンドンの中心部、ケンジントン・ハイストリートに
位置するJapan House London

文化とは何か、そしてそれはどこに宿るのか──。

この問いは、工芸やクラフトという「手仕事の文化」を通して見つめ直すとき、より深い意味を帯びてきます。日本では、欠けや不完全さの中に美を見出し、素材そのものに敬意を払う姿勢が根付いています。一方でイギリスでは、王室の儀礼や格式に見られるように、「完成された形」や「伝統の権威」が文化を象徴してきました。同じ“クラフト”という言葉が指し示すものが、国や歴史によって大きく異なるのです。 

今回お話を伺ったのは、ロンドンを拠点に活動し、日本文化のユニークな魅力を西洋に伝えることに情熱を注いできたサイモン・ライト氏。現在はジャパンハウス ロンドンのプログラミング・ディレクターとして、数多くの展覧会や文化プログラムを企画・監修し、日本の伝統から現代文化まで、その多様な魅力を英国の人々に紹介してきました。漆、金継ぎ、竹細工、陶器──。一見「エキゾチック」にも映る日本の工芸の背後にある精神や哲学に、どれほどの深さがあるのか。対話のなかで語られたのは、クラフトとは単なる“モノづくり”ではなく、「美意識の在りか」を探る営みであるということでした。 

文化がどこに宿るのか。その問いの輪郭が、少しずつ浮かび上がってきます。

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ジャパンハウスロンドンのプログラム・ディレクターSimon Wright氏

1. ヨーロッパ空間と日本の素材 

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2026年1月〜3月までの輪島塗展より

Q. ヨーロッパ、特にラグジュアリーな空間に、日本の工芸や素材はどのように受け入れられると思いますか? 

A. 素材の質が良ければ、日本の工芸はヨーロッパのラグジュアリー空間にも自然に馴染むと思います。とはいえ、「工芸」という言葉が含む世界は広く、彫刻のような現代アート的表現もあれば、日常に静かに寄り添う器のような存在もある。その多様さこそが日本の工芸の魅力です。 

漆は高価ではありますが、特別な空間に調和する力があり、現代的なデザインと組み合わせれば、新たな可能性を引き出すことができます。竹細工もまた、軽やかでありながら構造美をもち、ヨーロッパ建築にもよく合います。素材の質感・造形美・背景にある精神性、これらが空間を豊かにするのです。 

2. 日本=質の良さという国際的認識 

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ジャパンハウスの「輪島塗展」で展示した輪島塗の漆器
Photo: JAPAN HOUSE LONDON

Q. 日本の陶器や漆、金箔、竹といった素材に対して、どのような印象をお持ちですか? 

A. 「ジャパニーズ○○」と聞くだけで、多くの人が“質が良い”と感じるのではないでしょうか。それは単なるブランドイメージではなく、長い時間の中で培われた信頼の積み重ねによるものです。陶器一つをとっても、そこに“詫び”“寂び”の精神が宿り、静かさや余白の美しさが漂っている。 

代々続く職人の家系や歴史、語り継がれる物語が、それぞれの素材に深みを与えており、その厚みが評価されているのだと感じます。 

3. 細部の美とクラフトマンシップ

Q. 日本人の「丁寧さ」や「細部へのこだわり」について、どのように感じていますか? 

A. 日本で見た急須づくりの現場を思い出します。蓋がぴたりと閉まるように調整し、注ぎ口の角度や穴の位置まで計算して、お茶が美しく流れるよう工夫されていた。そうした細部への気配りは、日本のクラフトマンシップの真髄だと思います。 

イギリスでは、そこまで細かく気にする文化は一般的ではありません。見た目や使い勝手を重視しますが、音や感触にまで美意識を向ける感性は珍しい。だからこそ、日本の工芸には特別な敬意が集まるのだと思います。 

2026年3月10日

Photo:Japan House London

2026年1月から3月にかけて、ロンドンのJapan House Londonにおいて「輪島塗」展が開催されました。

WAJOYは、本展覧会に関連し、輪島の漆芸作家の国際的な紹介に協力するとともに、箱瀬淳一氏、しおやす漆器工房、角有伊氏の作品・商品のディストリビューションに関わらせていただいております。

また、輪島の漆芸作家・箱瀬淳一氏をロンドンへ招聘し、Japan House Londonとの共催によりさまざまなプログラムを実施いたしました。

主な関連企画として、

  • 箱瀬淳一氏によるトークイベントおよび制作実演
  • 箱瀬淳一氏による金継ぎワークショップ(全4回)

を開催し、輪島塗の歴史や技術、日本の漆文化の魅力を英国の皆様に直接お伝えする機会となりました。

これらのイベントは大変好評を博し、トークイベントはJapan House Londonにおいてコロナ禍以降で最多規模の来場者数を記録しました。また、金継ぎワークショップについても参加者から高い評価をいただき、日本の工芸文化や「修復の美学」に対する関心の高さを実感する機会となりました。

能登半島地震からの復興途上にある輪島の作家や職人の活動を国際社会へ発信するとともに、日本工芸が持つ文化的価値や精神性への理解を深めていただく貴重な機会となりました。

WAJOYは今後も国内外の関係機関と連携しながら、日本工芸の魅力と可能性を世界へ発信する活動を続けてまいります。

2026年3月3日

The Ritual of Resilience(再生の儀式)

日本工芸を「展示するもの」に留めず、「提案できる技術」「体験できる文化」として世界へ届けるプラットフォームであるWAJOY。

WAJOYはその活動の一環として、ロンドンのSomerset Houseにて、2026年2月25日から3月1日まで開催された国際工芸アートフェア Collect 2026 において、初の国際展示となる「The Ritual of Resilience(再生の儀式)」を発表いたしました。

Collectの会場の「サマセットハウス」。国の重要建造物となっています。

Collectは、英国クラフト・カウンシルが主催する世界有数の国際工芸アートフェアです。WAJOYは、日本から約7年ぶりとなる出展団体として参加し、石川県ゆかりのコンテンポラリー漆作家5名をキュレーションし、展示を行いました。

本展では、日本有数の漆文化の地である石川県ゆかりの作家たちを紹介しました。2024年の能登半島地震による甚大な被害を乗り越えながらも、静かに創作を続けてきた作家たちの作品が一堂に集いました。

漆、蒔絵、仏壇技術、そして金沢の金箔文化といった伝統技法を通じて、自然素材と積み重ねられた記憶が織りなす世界観を表現しました。そこには、脆さと強さが共存する日本独自の美意識が息づいています。

本展の作家たちは、日本の工芸を単なる伝統としてではなく、人間の精神が困難を乗り越えながら未来へ向かって歩み続ける「生きた営み」として提示しました。

また、本活動を通じて新たなご縁や協力の機会も生まれています。Collect 2026での出展をきっかけに、日本の工芸や漆文化に関心を持つ国内外の関係者との交流が広がり、WAJOYの活動はさらに新たな展開へとつながっています。今後も、日本工芸の魅力と可能性を世界へ発信し、その価値を未来へつないでまいります。

出展作家

  • 箱瀬淳一(漆芸)
  • 百瀬玲亜(漆芸)
  • 中村友紀(漆芸)
  • 野口健(漆芸)
  • 山﨑友典(漆芸)

2026年2月23日

ロンドンのSomerset Houseにて、2026年2月25日から3月1日まで開催された国際工芸アートフェア「 Collect 2026」 において、WAJOYが企画した「The Ritual of Resilience(再生の儀式)」が、ロンドン発のコレクタブルデザイン専門オンラインマガジン 「The Design Edit」 に掲載されました。

本展示では、主に石川県ゆかりの5名の漆芸作家による作品を紹介し、日本の漆文化と現代的な表現の魅力を海外へ発信しました。

掲載記事の詳細は、以下よりご覧いただけます。

https://thedesignedit.com/market/collect

2026年2月18日

ロンドンにおいて、現地のジャーナリストやメディア関係者を対象とした朝食会を開催し、日本の漆文化およびWAJOYの取り組みについて発信を行いました。

本会には、国際工芸アートフェア「Collect」のフェアディレクターであるTF Chan氏や、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)のキュレーターである山田雅美氏をはじめ、文化・アート分野に関わるジャーナリストの皆様にもご参加いただきました。

当日は、日本の漆文化の魅力やその背景にある精神性、さらに能登半島地震を経て復興に取り組む石川県の工芸について紹介するとともに、WAJOYが進める国内外での文化発信活動、そして翌月に開催される「Collect」の出展などのお話をさせていただきました。

また、石川県の漆スプーンや郷土のお茶、お菓子を用いた体験型の設えを取り入れ、日本の工芸や文化を五感で感じていただく機会に。参加者からは高い関心が寄せられ、日本の文化的背景や工芸が持つ価値について理解を深めていただく場となりました。

今回の朝食会は、メディア関係者との新たな関係構築につながるとともに、今後の情報発信や国際的な文化交流の発展に向けた貴重な機会となりました。

WAJOYは今後も、日本工芸や地域文化の魅力を国内外へ発信し、文化を通じた国際交流の促進に取り組んでまいります。

2026年2月16日

ロンドンのSomerset Houseにて、2026年2月25日から3月1日まで開催された国際工芸アートフェア Collect 2026 に関する記事の中で、130年以上の歴史を持つ英国の国際経済紙・メディアである Financial Times にWAJOYが掲載されました。

記事では、CollectのフェアディレクターであるTF・Chan氏が、WAJOYについて言及しています。TF・チャン氏は、日本の文化プラットフォームであるWAJOYに注目し、2024年の能登半島地震を経験した石川県の漆芸作家たちが示した「目覚ましい回復力(remarkable resilience)」と、その作品を紹介したことを取り上げています。

WAJOYが企画した「The Ritual of Resilience(再生の儀式)」では、石川県ゆかりの漆芸作家たちの作品を通じて、日本の工芸文化とその背景にある精神性、そして復興への歩みを国際社会へ発信しました。

このような国際的なメディアで取り上げていただけたことを励みに、今後も日本工芸の魅力と可能性を世界へ伝える活動を続けてまいります。

掲載記事の詳細は、Financial Timesのオンライン記事をご覧ください。

Collect fair 2026: ‘Craft reminds us that good things are worth the wait’

2026年4月14日

このたび、一般社団法人WAJOY日本工芸の国際普及協会は、「大阪万博記念基金(EXPO’70基金)」に昨年に続き、再度採択いただきました。

昨年度の採択を契機として、ロンドンにおいて輪島塗をはじめとする日本の漆文化の紹介を実現し、Japan House Londonでの展覧会や、国際工芸アートフェア「Collect」への出展、パネルディスカッションの実施など、複数の文化拠点において展開する機会を得ました。

これらの取り組みを通じて、ロンドンにおいて日本の漆が多面的に紹介される流れが生まれ、「漆イヤー」ともいえる状況を形成する一助となりました。

本取り組みは、EXPO’70基金の支援があってこそ実現したものであり、改めて深く感謝申し上げます。

本年度は、この流れをさらに発展させ、ロンドンに加えパリへと展開し、日本の工芸文化の国際的な発信と交流を一層推進してまいります。